言い訳

駄文ってことは知ってるから許してください

商業BL雑レビュー(1) ~抽象的すぎですまん~ 上

 Tに捧ぐ

 

 最近(ここ半年)読んだ商業BLや前に読んだけど書いてるときにたまたま思い出した商業BLを雑にレビューするよ。ネタバレは出来る限りしないようにしてるけど、してるよ。

 

~漫画編~

 

 「ワンルームエンジェル」はらだ

 エロなし!まあじぃ~???!!!(むかしは尿道責めのはらだなんて呼ばれてたよねなつかしい~~~)だけど今作で実ははらだ先生の真骨頂はエロ以外のところにあるのかもしれないと気づかされた。

マンガがほんとにうめえ。はらだ先生の画力、演出力に改めて慄いた。あと、セリフ回しがいいんだよな~すごく口語的なセリフが印象的なシーンに入ることで一気にぐっと引き込まれる。計算された完璧に美しい画面なんだけどセリフで「人間」を押し出してくるんだよ~~~本作はそこがめちゃめちゃ利いてた。

そして、はらだ先生ってよく倫理ヤバ人(りんりやばんちゅ)描くけどめっちゃ優しい作家だよなってのも改めて思った。ひとの痛みに対してすごく繊細な感性を持っているというか。すきぃ。痛くてつらくて、でも希望があって。はらだ先生は意外と愛というものに対して素朴な希望を持ってるのかなと今更ながら感じた。

泣ける○○とか感動とか陳腐な商業コピーとしか思えなかったんだけど、もしや「感動」とはこういうことなのですか?

 

 「STAYGOLD 4」秀良子

 3巻までの内容全部忘れたけど、丁度まとまってるとこだったので今巻だけでも読めた。なんかスパッ!って感じの読後感。ストーリーは全然そんなことないんだけど。うわっ!積み重ねた日々!げっ!激重い恋情!ひえっ!切な!で一冊過ぎ去った。

これもね~セリフがよかった。セリフってかモノローグだけど。自分のどうにもならんくらいデカい恋心に振り回される人間、まじで愛しい、最高。ボーイズラブの与えてくれる切ないとかいう感情、大好き。切ないって傍観者の感情でしかないのでボーイズラブの醍醐味って感じするわ。

 

 「秋山くん 3」のばらあいこ

 のばらあいこ先生は、、、、、くぅ~~~っ質感!なので、こんなレビュー読んでないで本人を読んだほうがはやい。(全部そうだと思うよ、、、)

これまではシバ目線のミステリアスでえっちでとにかく魅力的な存在!の秋山くんしか知らなかったけど、3巻目にして秋山くん側が見えたなーって感じ。これはラブ、、、それも相互ラブですわ、、、

ともみすき

 

 「you are my religion」九州男児

 牧師と先住民。流石男色の九州男児といったところ。先住民の文化や牧師側の事情をしっかり描いているのがボーイズラブつまり「ただ二人の男」に還元されていてすごい。九州男児先生特有の素朴でアホな面白さもしっかり差し込んでくる。ただ、正直アホ100%の九州男児作品のが自分はすき、、、

 

 「課長の恋」シリーズ 九州男児

 まじで登場人物全員アホ、というかいかれてる。全カプ受けも攻めもおかしいので誰にも感情移入できないところがいい。さっぱりとした絵柄で、まともなツッコミ役も特にいないまま、淡々と最後までトンチキ世界観を誇示してくる。おれはシュールギャグが大好き!「課長の恋」シリーズといい「ロマンス・コンシェルジュ」(これも大好き!)といい、九州男児バースではボーイズラブですらシュールを演出する効果になってて(でもホモネタみたいな不快さはない)、ボーイズラブには無限の可能性があるなあと実感できる。さっきアホ100%とかいっちゃったけど、ずっとコメディの作品でも、アホの合間に現実の世知辛さがあって、それがまたシュールな面白さにつながっている。そこが九州男児先生の一番好きなところかもしれん。

 

 「同棲ヤンキー赤松セブン」原作:SHOOWA 漫画:奥嶋ひろまさ

 ぼくの大好きなSHOOWA先生だっ!ってなった。独特のテンポとセリフ回しにえへへってなっちゃうのがまじでいつものやつ。ふたりの表面上の距離は近いんだけど、片方(もしくはお互い)の心の内には詰めたい距離があって、二人のやりとりは微笑ましくもそれぞれの心中を慮ると真面目な顔にならざるを得ないっていういつものやつ。奥嶋作画は線が強く描き込みも多い分SHOOWAキャラのまぬけさが際立ち、愛しいです。シンプルに原作と作画がベストマッチ。ラム肉にジンギスカンのタレくらいはまってる。つまりはジンギスカン

 

 「王様のベット」草間さかえ

 収録された三篇の短編がそれぞれ全てすごくきれいにまとまっている。色、匂い、光、湿度が鮮やかに感じられるのはいつものことかもしれないけど、本作はそれぞれの作品のモチーフが相まってさらに印象的だった。天気の使い方とかもう映画じゃん(賞賛)って思ったけど、映画ってなんか明度低くね?草間さかえの画面は絵の具の濃淡と光の表現が鬼ヤバな透明水彩って感じする。永山裕子、、、

 

 「8人の戦士」池玲文

 帯「男根の鎧(ペニスケース)は男のPRIDE」、、、、、優勝!!!!!!!

秘境の島に住む8つの部族から各1名代表が選出され、島の王を賭けて戦う訳ですが、まあ先にイッたやつが負けといういつものやつです。でも”鎧”とか戦法に個性があって楽しい。そして、8人もいるからカップリングもいっぱいあって楽しい。

アホエロといえば紅蓮ナオミ先生だったのですが、池玲文先生、御見逸れしました。やっぱ美麗絵はアホが映える。あと地味に平和な世界なのもイイネ。

(上手いでもなく(いや上手いんだけど)、綺麗でもなく、「美麗」ってジャンルあるよね)

 

 「恋するインテリジェンス 6」丹下道

 安心安定のシュールギャグエロ。欲望のままに考えました!って感じのすがすがしいまでにアホな設定、美しいんだかちょっと下手なんだかわからない絵で描かれるエロいんだか面白いんだかわからないエロシーン、好きになっちゃうよこんなん。6巻まで来ましたがなにも変わりません。貫くってかっこいいね。

 

 「さよなら恋人またきて友だち 宮内ユキについて」yoha

 ディストピアが好きなのでオメガバースも結構好きです。この「さよなら恋人またきて友だち」シリーズはpixivで一目ぼれした地獄なのですが、いやあ今作もいい地獄ですね。第二の性が見事に地獄しか生んでない。生殖ぅ、、、

性の暴力、暴力、暴力、搾取、差別的な社会構造とか熱いところは多くあるけど、結局なにがこの地獄を地獄たらしめるかというと「エゴ」なのかなあ。今作は「救いたい」がことごとく空振っているが、エゴをエゴだとしりながら相手に突きつけるしかないときは現実世界でもきっと必ずある。たとえ他者に向けた行いは全てエゴということもできるかもしれないが、それでもやっぱり、暴力性と傲慢に塗れた己の手を伸ばそうするとき、ままならないなという感情に支配されて膝をつくしかない。

3巻目にして舞台装置が整ったらしいです。2019年夏の連載再開が楽しみ。(この機会にシリーズを履修してみては!?)

 

 「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」水城せとな

 ええぇ~~~~~ヤバ!!!!!!!なる。今まで読んできた中で一番恋の嫌なとこ(しらんけど)描いてるボーイズラブだった。うわー恋、グロ!人間、醜っ!

作品が終わった後も彼らの人生は続いている。物語として着地はしたけれど不安定で爆弾を抱えたままの関係性はどこへ向かうのか。結局、関係性なんてどう変わるかかわからないところも、きっと変わらざるを得ないところも、結末を見届けるなんてできないところも、人生ってそんなもんだよね。アンチ「いや、現実はこうだからw」だけどこれはいい現実。現実というか「嫌なとこ」の昇華がすごい。チョコレートは苦いからうまい。冷麺は辛くて歯茎が痛くなるけどそれが冷麺。

「同棲愛」もそんな感じで水城せとなすげーって思ったけど、「同棲愛」は人間の成長がかなり入ってるというか、個人の中身と関係性が日々を重ねることで変わっていく描写の比率が大きかった分、窮鼠のがどうしようもなさが鮮烈だった。てか単に作品の長さかもしれん。「同棲愛」(10巻くらいたぶん)はずっと読んできたからこそ、最後は漠然とした虚しさが残った。同棲愛はああ、、、うん。で窮鼠はエーン!わかった、わかったから!!!ってところでしょうか。

あっ!!!窮鼠俎上はリバです!それも論理的なリバ。

 

 

 なんとこれ、、、上下編の上です、、、

 下は小説と番外です、、、