言い訳

駄文ってことは知ってるから許してください

蟻、春

 女王蟻がでた。標準サイズの蜘蛛、蠅等は恐るるに足らず、小さき命への慈悲の心をもって接することができるが、デカい虫は普通に脅威なのでやめてほしい。ビビりのあまり筆を執ってしまった。ついさっきクソデカい蟻が這い回っていたキーボードを叩いている。まあまあ嫌だが、彼女が僕のノーパソの上にいたということは、僕の布団をはるばる横断してきたということだ。布団を捨てて他へと逃げ出す先はないので、僕は彼女と実質同衾するしかない。キーボードとか、気にするだけ仕方ない。

 彼女にお帰りいただくため、僕はパソコンを、暗闇の中輝く液晶の端っこをつまんで玄関まで運んだ。深夜なので、外は真っ暗だ。僕が立つ玄関先だけが蛍光灯に照らされて、白く眩しかった。大学生活では、夜中の帰宅もそうめずらしいことではなかった。もはや新鮮でもないはずの深夜にいまだに未知を感じるのは何故だろう。子どもころ、いつか失うと思っていた夜の帳への恐れや好奇心は、わたしの中から消えなかった。パソコンから蟻を振り落として、遠くをみた。春になって薄くなった寝巻の隙間にひんやりとした空気が入ってきて、深夜といえば冬だと思っていたが、真夜中の春も悪くないなあと思った。

 でも、布団に戻ってきてこれを書いてたら、別に春でなくとも、真夜中自体がちょっと魅力的であるような気がしてきた。早朝の空気も季節で変わるけど、それぞれどれも雰囲気があるし、夕方の空は一年中鮮やかだ。昼間だけがいつもつまらない。お昼寝するとき以外だけど。

 今日も夜更かししてブログを書いてしまった。昨夜からほとんど寝てないのに何故か微塵も眠くない。いや、少し盛った。3時間くらい昼寝した。ブログにも書いてた。あともう一つ、早朝はどれもいいというのもちょっと嘘だった。わたしは露に濡れた夏の朝が一等すきだ。それにしても、不思議なほど元気だ。自分で気づかないうちに何かをキメてしまったのかもしれない。